見えるものだけを見てはいけない
見えるものだけを見てはいけません。
目に見える臓器だけを見るのではなく、例えば肝臓が悪いときは心臓や腎臓も一緒に調べる必要があります。なぜなら、水は木を育てるように(=水生木)、腎臓は父親のようにきれいな血を送り、それによって子供である肝臓が健康を維持できるからです。
しかし、体に毒素が入って腎臓が弱ると、逆に息子である肝臓がその毒素を取り除き、腎臓を守ろうとします。これは「木生水」、つまり逆の関係になります。これが五行の「相生(そうしょう)」の原理です。
この原理を知らずに肝臓だけを見て手術すると、腎臓や心臓まで悪くなってしまい、どうしていいかわからなくなってしまいます。
また、すべてのものはバランスが大事です。相生の関係も、行き過ぎると五行のバランスが崩れます。例えば、水は木を成長させますが、大洪水になると木は腐り、最終的には流されてしまいます。
農業も同じで、肥料をたくさん与えればいいわけではなく、雨が多ければ草木がよく育つわけでもありません。人間も同じです。例えば、母親の愛情が強すぎると、子供は「マザコン」になってしまいます。
体の中でも、肝臓が心臓に血を送りすぎると、血圧が上がり、バランスが崩れます。このように相生の作用が行き過ぎて問題が起こるときは、「相剋(そうこく)」の関係で調整しなければなりません。
相生の流れが「木 → 火 → 土 → 金 → 水」だとすると、相剋の流れは「水 → 火 → 金 → 木 → 土」となります。もし相生だけなら、ブレーキのない車のように暴走してしまいます。相剋で適度に制御することで、生命のバランスが保たれるのです。
例えば、「木(木の根)は土をほぐして柔らかくするので、土を剋する」と考えられます。実際にどんなに硬い土地でも、よく探せば根を張る草があるものです。
体の中では「木」にあたる肝臓が、「土」にあたる脾臓の働きを調整します。例えば、脾臓が活発になりすぎて食べ過ぎてしまうと、肝臓がブレーキをかけます。
認知症の高齢者がずっと「ご飯をちょうだい」と言うのは、脾臓をコントロールできないからです。つまり、木・金・土の相剋作用がうまく働いていないのです。
だから、認知症予防にはカレーが良いのです。カレーは脾臓の働きを調整するので、認知症を防ぐことができます。
また、「土剋水(どこくすい)」の原理では、土が水を蓄えて有効に使えるようにします。しかし、このバランスが崩れると洪水が起こり、田畑がダメになってしまいます。
体の中では、「土」にあたる脾臓が「水」にあたる腎臓をコントロールします。だから、腎臓が悪いときは脾臓のケアも重要で、それが治療の近道になります。脾臓を整える一番の方法は「少食」です。
そのため、腎臓が弱って体がむくむ人は、数日間の断食や1日1食にすることで体調がよくなります。脾臓が悪くなると、胃や腎臓に影響し、さらに腰痛の原因にもなります。
「水剋火(すいこくか)」は、強すぎる火を水で抑えるという考え方です。山火事が起こったとき、人や道具をどれだけ使ってもなかなか消えませんが、大雨が降れば一気に鎮火します。
逆に、水が恐れるのも火です。水に火を加えると、蒸発してなくなってしまいます。人間の体の約70%は水でできているため、適度に火(熱)を加えて体温を維持しなければなりません。
体が冷えている人は「火剋水(かこくすい)」ができていないので、火を補って水を制御する必要があります。そのため、高麗人参(こうらいにんじん)や附子(ぶし)といった、体を温める薬が使われます。
しかし、附子のような強い薬を使えないから病気が治らないのです。体を温めるべきなのに、解熱剤ばかり使って体をさらに冷やしてしまうのです。
特に、子供が風邪をひいたときに解熱剤を間違って使うと大変なことになります。熱が出るのは、体の内側が冷えているからです。解熱剤を使うと、さらに冷えて病気が悪化してしまいます。
逆に、体の内側に熱がこもりすぎている場合は、その熱を冷ますために石膏(せっこう)などの薬が必要になります。
附子や石膏のような薬は、使い方を間違えると危険なので、漢方医でも慎重になります。なぜなら、診察で「この熱が本当の熱なのか、それとも冷えを補うために出ている熱なのか」を見極めなければならないからです。
「火剋金(かこくきん)」は、火が金属を溶かすという考え方です。不要な金属を火に入れると、新しく役に立つ道具に生まれ変わります。
体の中でも、「火」にあたる心臓が、「金」にあたる肺の機能をコントロールします。例えば、咳や喘息(ぜんそく)がひどく、抗生物質でも治らない場合、それは心臓のエネルギーバランスが崩れているからです。
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